2021年8月21日に「香の物祭」が愛知県あま市にある萱津神社(かやつじんじゃ)で行われました。
「香の物祭」は漬物の神を祀る日本で唯一のお祭りで毎年8月21日に開催されます。
各地から漬物業者が集まり神饌をささげ、巫女の舞を奉納し漬込神事が執り行われます。ここで漬込まれた漬物は熱田神宮に奉納されます。
今回はそのレポートをしたいと思います。
そもそもなぜ萱津神社は漬物を祭る神社なのか。社伝曰く、大昔し近隣の人々は神前に初なりの瓜や茄子などを供えていました。また海辺に近いので藻塩もお供えしていました。ある時これらの野菜と塩を一緒に甕に入れて供えたところ、神の思し召しか甕の中の供物は朽ちる事なく瑞々しさを保ち程よい塩味でなんとも言えぬ美味となっていました。
人々は雨露にあたっても変わらないその味を不思議に思い、神からの賜り物として万病を治すお守りとし、遠近問わず頂きに集まるようになったといいます。これが日本の漬物の始まりであるといわれています。
午後2時祭は始まります。連日の長雨だったが昼から雨が止み晴れ間が見え、私は20年間このお祭りに参加しているが不思議と雨に降られた事がありません。宮司も朝から絶対晴れますから大丈夫と自信満々だったが正しくその通りになったのには驚きました。
社務所を出発した神職者たちが列をなし本殿に向かう。。。
本神殿では祝詞をあげ、神饌をささげ、関係者達がお祓いを受けのち巫女の舞が奉納されました。
今年はソーシャルディスタンスという事で本殿内に入る人は通常の半分に抑えられていました。本神殿での神事の後は「香の物殿」に移動。
ここには漬物のための社が有り4つの大きな甕と野菜がお供えしてあります。
奉納された野菜は瓜、白菜、茄子、大根、そして虫除けとして漬け込まれる蓼(たで: 蓼食う虫も好き好きと言われるように虫が嫌がる葉です)。
この漬け込み神事には一般の方々も参加出来ます。参列者たちは手に手に野菜を持ち香の物殿に並べられた甕に野菜と一握りの塩を漬け込みます。漬け込みを終えた人はお神酒を頂き神事は終了。
のちに出来上がった漬物は熱田神宮に奉納されます。
私は毎年この神事に参加していますが、厳かに行われる一連の行事はまさに漬物の原点だと感じています。丸越のお漬物はキムチや浅漬、そしてサラダ漬物等創作漬物が主流となっています。
しかし昔の人は塩だけで漬け込んだ野菜が美味しく保存が効いて頂ける事に神様からの賜り物と大切に頂いたと言われています。
今でこそ漬物は時流と共に様々な変化を遂げていますが、日本の伝統食品としての原点を忘れずにいたい思う次第です。